豊島ミホ

豊島ミホ「ブルースノウ・ワルツ」

ネタバレ有り? 「大人になる」ということからいかに逃れられないのかということを、この小説は描いているのだと思う。「子ども」というのは「大人」を絶対的なものだと思う人々のことだと思う。ラカン派の言う「知っていると想定される主体」としての大人と…

『日傘のお兄さん』(豊島ミホ、新潮社文庫『日傘のお兄さん』所収)

ネタバレ注意 王子様がお姫様を助ける話というほど簡単な話ではないし、そもそもお兄さん=王子様とするにはやや宗助の行動には問題があるけれども「不幸なお姫様の前に王子様が現れ、幸せになる」という筋はこの話のメインのラインになっている。ただしその…

初恋素描帖(豊島ミホ、ダ・ヴィンチブックス)……相関図作ってみました

『初恋素描帖』(著:豊島ミホ、ダ・ヴィンチブックス)を読んだ。 ある中学の2年2組35人の内、20人の短いストーリー。 一人10ページ弱で、タイトル通り恋愛に絡んだようなエピソードが描かれている。 2010年2月号の『papyrus』で、豊島さんがこ…

エバーグリーン(豊島ミホ、双葉文庫)

『エバーグリーン』(著:豊島ミホ、双葉文庫)を読んだ。 アヤコ(女の子)のための物語という印象が大きい。 少女漫画、小説的とでも言うのだろうか。 中学三年生のシンは、学校祭を目前に組んでいたバンドが解散してしまう。 その話をたまたま聞いていたアヤ…

底辺女子高生(豊島ミホ、幻冬舎文庫)

『底辺女子高生』(著:豊島ミホ、幻冬舎文庫)を再読した。 豊島ミホさんが高校生の時を振り返って書いたエッセイ集。 『檸檬のころ』の対になるような『負の部分を思いっきりやってやれ、という気持ち(あとがき より)』で書いた、というだけあって、「女子高…

陽の子雨の子(豊島ミホ、幻冬舎文庫)

帯に書かれた「青春の輝きと残酷さを刻む 胸に染みる物語」という文句が絶妙だ。 この物語にはまさに輝きと、そして残酷さがある。ストーリーは男子中学に通う14歳の少年、夕陽が偶然に24歳の雪枝と出会うことから始まる。 連絡先を交換した彼らは、何度か会…

やさぐれるには、まだ早い!

豊島ミホの『やさぐれるには、まだ早い!』を読んだ。フリーペーパー『L25』に連載されていたエッセイに加筆修正したもの。あとがきにも書かれてるんだけど『新しい物事の見方』とか『自分の知らない遠い世界の話』という感じはあまりしない。日常の話とか、…

リテイク・シックスティーン

豊島ミホの『リテイク・シックスティーン』を読んだ。高校に入ってすぐ、主人公の沙織は同級生の孝子に話しかけられる。孝子は自分は未来から来たと言う。彼女は失敗した青春をやり直そうと、沙織と、お調子者の大海くん、真面目な村山くんを巻き込んで青春…

ぽろぽろドール

豊島ミホの『ぽろぽろドール』を読んだ。人形の登場する短編六本の連作。昔、等身大のドールのサイトにはまっていたことがあった。等身大のドールの写真に、その持ち主の会話形式の文章が添えられているサイトだった。一般的には、たぶんあまり受け入れられ…

カウントダウンノベルズ

豊島ミホの『カウントダウンノベルズ』を読んだ。音楽の週間チャートベスト10に入ったミュージシャンを描いた10の短編集。読み終わってからレビューなどを読んでみると、実在のミュージシャンが連想される等のことが書いてあったが、自慢じゃないが音楽をほ…

リリイの籠

豊島ミホさんの『リリイの籠』を読んだ。僕の豊島さんの単行本の中で一番好きなのは『檸檬のころ』だ。この作品は『檸檬のころ』の次に好きな作品になった。『檸檬のころ』は共学の高校が舞台だけど、こちらは女子高が舞台になっている。同級生へのあこがれ…