塔の町、あたしたちの街1(扇智史、ファミ通文庫)

『塔の町、あたしたちの街1』(著:扇智史ファミ通文庫)を読んだ。
<二巻未読のため、感想は一巻読了時のものです。>
なんだか全体的に懐かしい感じがする。
発行が2007年なんだけど、2000年前後と言われても違和感がない。
架空の街を舞台にした、いわゆる学園異能ものであり、アイテムは基本的に現代と、やや近未来的なのだけれど、雰囲気としては中世ヨーロッパをイメージしたファンタジーモノに近い気がする。
個人的に、オーフェンの雰囲気と近いと思った。
設定自体は結構好き。
ただ、一応二人の女の子がメインで、関係は百合的なんだけど、そこに必然性が感じられない。
別にヒロインとヒーローの話だったとしても、違和感がない。
かといって、女の子ふたりという設定にもまた無理はないのだけれど、その点がまずものたりない。
次に、どうもキャラクターに感情移入ができない。
主人公ふたりは、幼い頃からの付き合いにもかかわらず、それが感じられない。
なごみの「『愛してる』なんて言われてごまかされんのは、うんざりだ!」(P177)という言葉は、喧嘩の最中に発せられた言葉であり、後で否定されるが、しかし妙にリアリティがありハッとさせられる。
不器用とかそういうことではなく、なにかほんとうに薄っぺらい感じがする。
あと、なごみのキャラクターとイラストが合ってない。
華多那はいいんだけど、なごみはちょっと違うのではないかと思う。
感情的で、突っ走り気味でちょっとキツメという性格はいいとして、それがイラストに現れていないのは、ラノベとしては痛い。
イラストの雰囲気自体はかなり作品と合っているような気がするので、それがかなり残念。

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二巻で完結のようなので、期待したい。