12歳からの現代思想

岡本祐一の「12歳からの現代思想」を読んだ。

著者が、学校では教えていないにも関わらず、中学入試問題の国語の問題文や、大学入試の現代文が現代思想であることを知り、今現代思想では何が問題になっているのかをわかりやすく取り上げた本。

内容は八つのテーマを扱っており、例えば「コピペ」の問題を通じてコピーとオリジナルについて論じたり、環境保護運動を取り上げて自然についての様々な考え方を論じている。

主張は中立的であり、その点は入門書として結構いいと思う。

ただ、12歳には少々難しすぎる。

例えば「第1章 コピーからオリジナルが生まれる?」では、ボードリヤールの「シミュラークル」や「シミュレーション」の概念が取り上げられているが、これを12歳で理解しろというのは無理がないだろうか?

解説自体はわかりやすいけれど、結構ばく然としているから難しいような気がする。

あと、わかりやすくしようというのはわかるのだけれど、この本の内容のみで議論しようとすると、中学生の屁理屈みたいな感じになると思う。

基本的なスタイルが、現状の常識に対して、新しい視点を読者に提供するような形でかかれているからだ。

もう少しそれに対するフォローがあった方がよかった。

「12歳からの」というタイトルを付けるならば。

それと、エピローグは高校生でも難しいような気がする(笑)

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自分の知っているテーマについては、あまりにモノ足りないけれど、知らないテーマに着いてはわかりやすく勉強になった。

大人も楽しめるという点ではいいけど、親がタイトルだけで子供に与えたら、かえって思想とかに嫌悪感を持ちそうだけど……。