この夢の原因は何だ……

どうにもだるい。
ちょっと前まで暑かったのに、急に涼しくなったせいかもしれない。
いや、それ以前からダルいはだるいのだけれど、拍車がかかってきた感がある。
あれか、夏場を乗り越えられないお年寄り的なやつか?
まあそんなことを考えながら、本を読みつつごろごろしていたら、なんとなく寝入ってしまった。
授業中に中途半端に寝入ったとき、妙に現実の授業と夢がシンクロするときがある。
たとえば、大学の講義中に寝てしまったときは、先生がずっとロンドン橋を歌いながら、黒板にハンプティ・ダンプティを描いているという夢をみた。
今日見たのはそれに近いかもしれないし、全く近くないかもしれない。
夢のなかで、僕は若い女性で、女友達の家に遊びに行っていた。
彼女の家はひろくて、リビングは森の中のような雰囲気になっている。
雰囲気というか、実際に木が沢山あって、絨毯も緑色で、なにやら鳥も飛んでいたかもしれない。
僕(といっても女性)と彼女は、テーブルでお茶を飲んでいる。
おそらくたわいもない話をしたあと、話題は僕と彼女の部屋の(僕と彼女は同じマンションの同じ階に住んでいることになっていた。部屋の広さは全く異なるが、それは夢なのでいたしかたがない)新しい住人の話になった。
僕はその新しい住人の女性に、よくモノをあげていた。
なぜそんなことをしていたのかは全くわからないのだけれど、とにかくなにかと必要なものを渡していることになっていた。
特別、その新しい住人が何かに困っているわけではなかったように思う。
そんな話をすると、女友達は不気味な笑顔になった。
この時点で、僕はどうしようもなく嫌な気配を感じていた。
それは、夢のなかの、その女友達の友達である女性としての僕ではなく、夢を見ている人間としての僕が感じたものだと思う。
この時点で、曖昧ではあるけれど、母親がリヴィングで電話をしている会話が一瞬耳に入った。
現実と夢が一瞬クロスした、というより、すこし目が覚めたのかもしれない。
しかし完全には目がさめず、夢を見ている僕は不気味なものを感じながら、夢のなかの僕は何の疑問もなく女友達がなにかを言い出すのを待った。
彼女はしばらくにやにやしたあとに、私は逆だというようなことを言った。
意味が分からないので、どういう意味なのかと尋ねると、彼女は少し考えてから、珈琲が入ったカップを片手に持って「ミルクがない」と言った。
たしかに彼女の珈琲はミルクも砂糖も入っていない。
僕はそれを聞いて冷蔵庫にミルクを取りに行こうと立ち上がったが、気がつくと女友達のよこには、さっき話していた新しい住人が立っていて、手にはミルクを持っていた。
そして、いつもは綺麗なはずの彼女の顔が、恐ろしくやつれていた。
その瞬間に、逆だということの意味と、そして彼女たちの関係性、とくに女友達の態度が急激に恐ろしくなった。
ここから逃げなくてはいけないと思い、大急ぎで木々がしげる一角へと逃げる。
そこにはたくさんの木と、そして空中に浮遊する石版に彫られた顔が浮かんでいて、僕はそのひとつ、太陽の石版をつかんだのだけれど、つかんだ瞬間にそれは消えた。
が、消えたところを弓が通過していくのを見た。
弓を見た瞬間に、ああもうダメだと思ったのだけれど目の前に「蝋封」が飛んできて、それにつかまって逃げることができた。
そこで目が覚めた。
寝ていた時間はおよそ30分程度で、別に寝汗もかいていなかった。