9.11ジェネレーション―米国留学中の女子高生が学んだ「戦争」

『9.11ジェネレーション―米国留学中の女子高生が学んだ「戦争」』(著:岡崎玲子集英社新書)を読んだ。
米国に留学していた著者が体験したアメリカでの9.11とそしてイラク戦争を、高校生という視点を活かして書いている。
著者が自分とほぼ同世代ということで、前から気になっていた本。
今、内容について批判的な言う事はできるが、僕がいまそれをすることはフェアではない。
もし出版されてすぐにこの本を読んでいたら、賞賛するかあるいは幼稚な理屈で反論していたに違いないからだ。
とはいえ少し。
著者が留学していたのはエリート校であり、そこでのクラスメートとのやりとりがどこまでアメリカの空気と言えるのかわからない。
けど、この本の今現在の意味は、あの出来事・事件、あるいは戦争(9.11とイラク戦争)を過去・歴史から、現代の問題へと再生させるということだ。
あの時自分はどこにいて、なにをしていたのか。
何を考え何を不安に思っていたのか。
幾世代か前のケネディ暗殺のニュースが、その世代のその時の記憶を呼び覚ますように、9.11ジェネレーションである僕たちは、あの出来事を一つのポイントとして忘れることはできず、そしてなんどもそのポイントを起点に記憶を再構成しなくてはいけない。
しかしあれは過去ではない。
未だにアフガンでも戦闘がつづいているし、イラクでも選挙が行われているものの、選挙で死者が出る。
政策の焦点の一つとなっている。
今につづいているあの日を、おそらくまだ歴史にしてしまうのは早すぎる。
そんな気持を思い出させてもらった。




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書評