無題

トラウマじゃないけど。
小学生の頃、本当に欲しい物は手に入らないと思っていた。
「本当に欲しい物」なんていうと素敵ソングの歌詞みたいだけれど、全然そういうのではなくて、例えばゴジラガンダムのおもちゃのことだ。
クリスマスに、遠くに住んでいる祖父母が毎年クリスマスプレゼントにおもちゃを送ってくれていたのだけれど、頼んでから到着するまでの3週間くらい、自分がそのおもちゃで遊んでいるところが想像できなくて、「きっと届くまえに強盗が入ってきて自分は殺されるんだ」と割と真剣に考えた。
結局毎年そんなことを考えながら、もちろん強盗が入ってくることもなければ、おもちゃが届かないなんてこともなかったんだけど、あの妄想は一体どこからきてたんだろうかと、今でもamazonの発送連絡メールを見ては時々思い出す。
しかし思い返してみると、子供の頃は毎晩のように強盗が入ってくるんじゃないかと考えていたような気がする。
襲われるのはいつも家で、まずはじめに自分が包丁のようなもので心臓を正確に刺殺される。
窓から逃げても、扉から逃げても、もう一人の強盗がそこで待っていてたぶん逃げられない。
机の下や押入れの中に隠れても、確実に見つかってしまう。
特に寝る前になると妄想がひどくなって、窓の外の小さな音にもビクビクしていた。
2階に住んでいたときは、窓やベランダから逃げられないことが怖くて、1階に住むようになってからは、侵入しやすいんじゃないかと思って怖かった。
また、父親と二人で外出するしているときに怖そうな人を見るたび、父が突然刺されるんじゃないかと思ったり、電車を待つときに列の一番前になってしまうと、後ろから突き落とされるんじゃないかと不安だった。
外側から来るものだけではなくて、台所で母が包丁を使っているところも怖かった。
近づいたら振り向きざまに刺されるんじゃないかと、たぶんかなり本気で思っていたから、台所にはほとんど近づかなかった。
一時期、誰であろうと周りに尖ったものを持っている人がいると怖くてたまらなかった。
もしかして小さい時に誰かに刺されたんだろうか?
自分の周りで流血沙汰が起こった記憶はないし、ニュースのせいかもしれない。
身体に何かが刺さるというイメージに恐怖を感じていたのが、一体どういう理由でなのかは未だによく分からないけど、今でも注射が怖いw