なぜか生物が多いので。

歳をとると食べ物の好みが変わるというのはよく聞くけど、確かに小学生の時には平気でたべていた油物が最近ずいぶんしんどくなった。
正確には二十歳を過ぎた頃からで、天丼とか食べた夜は間違いなく胃もたれを起こしていた。
そういう変化と共に、心理的に受け付けなくなるものもあって、特に僕の場合は生物がダメだ。
刺身とか魚卵とか。
あのぬるっとした感じが苦手になって、食べられなくはないけれど自分で進んではたべないようになった。
火を通して食べたい。
しかし我が家はわりと頻繁に刺身と魚卵がテーブルの上にのる。
刺身はともかくとして、魚卵というよりもイクラがこの時期結構な頻度で出されるのには、ちょっとした事情がある。
うちの父は趣味がクラッシック音楽と、台所や風呂場の鏡とか金属部分を磨くことなのだけれど、これにおととしあたりからイクラ作りが加わった。
スーパー等に売られている生の筋子を買ってきて、バラバラにして白醤油に付ける。
イクラを漬けることに文句をつけるつもりはないのだけれど、二つ問題点があって、ひとつは分量が多いので確実に家族が消費しなくてはいけないこと、もうひとつは作業中非常に生臭い臭いが家中に広がることだ。
後者の方はまあ部屋にいれば避けることができるのだけれど、食する方は避けることができない。
父の漬けたイクラはまずくはない。
しかし特段美味しいわけでもない。
そして僕は魚卵が苦手である。
昨日父親が作業をしているのを見て、嫌な予感はしていたが、今朝はイクラごはんだった。
もちろん贅沢を言っていることは分かっているのだけれど、朝から魚卵はちょっとつらい。
元気に口の中で弾けるイクラたんたちに罪はないわけだけど。
イクラは加熱して調理したりしないんだろうか。