温泉……

このところ2週間ばかりあまり調子が良くない日が多かった。
いい日はむしろ活動的になるのに、体調が悪い日はベッドから離れたくない。
そんな感じだということを本職の方に相談したところ、温泉にでも言ったらというアドヴァイスを頂いた(本当)。
温泉。
温泉といえば、付き合い始めたカップルが最初に泊りがけで行く場所と相場が決まっている。
普段よりテンションが高い彼女の、普段は見ない浴衣姿にどぎまぎする場所と相場が決まっている。
湯上りの濡れた髪と、ちょっと肌が上気した彼女の姿に気恥ずかしくなってなぜだか目を合わせられなかったりする場所と相場が決まっている。
夕食後、部屋に戻るのがなにか気恥ずかしくて、おみやげ屋を無駄にうろうろする場所と相場が決まっている。
そしてお酒を買って飲み過ぎてしまい、気がついたら寝てしまっている場所、それが温泉だ!
ちなみに実体験ではないですよ、と。
この時期にひとりで温泉に行くのはさすがに微妙だ。
しかも泊まり……。
さすがにラブプラス+を買って行くのは痛い。
それくらいは僕にだってわかってます。
いや待てよ、泊まり先で失恋の痛手を忘れるために傷心旅行中の黒髪の乙女と出会う可能性があるかもしれない。
療養(?)中の男と傷心の黒髪の乙女。
これは実にいい!
出会いは湯への入り口の暖簾のところだろう。
長く湯に入りすぎて気分が悪くなって座り込んでしまった彼女を介抱するわけだ。
夕方、たまたま大広間での食事で隣同士になり、弾む会話。
食事後、ホテルのお店でお酒を一緒に。
閉店時間になり、翌日周辺を散策することを約束してそれぞれの部屋へ。
そして翌朝、朝風呂にと温泉に行くと男の死体が。
死体は黒髪の乙女の元彼だった。
まさか彼女が……。
いやしかし、警察に疑われる彼女を守れるのは……。
そんなことがあるのが温泉だ!
全然休まらない……。